旗竿地に『Domus=高気密高断熱住宅』を建ててみた(設備編・日野市新井6号棟自社分譲住宅)

東京都日野市
Custom house 注文住宅
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東京の西部に位置する日野市にて建売住宅を分譲しております。

2022年より事業として開始させていただき6棟目となりました。

注文建築は注文建築で良いのですが、やはり施主様が一番ですので、私の『作りたいもの』、『やりたいこと』ができるか?となるとそうは行きません。

半面、建売分譲を行うと、ほぼ私の理想とする住宅を建築することができます。そのため最近では『建売分譲』にハマっています。

デザイン面だけでなく、機能面、性能面においても然りです。

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昨今の地球温暖化や、それに伴うエネルギー使用量の増加など、家計を直撃しているのは、我が家も同じです。

そこで弊社では2023年から高気密高断熱住宅『Domus(ドムス)』シリーズ(商標登録番号:6923005)を展開しています。

詳しくは『高気密高断熱住宅への挑戦(Domus=スーパーウォール工法)』をご覧ください。

弊社では『Domus』シリーズを注文建築だけでなく、分譲住宅にも採用しております。

ここでご紹介する日野市新井6号棟(以下、本物件)はDomus分譲住宅として、2棟目になります。

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弊社の『Domus』シリーズはLIXIL社のスーパーウォール工法(以下、SW工法)をに建築しております。

高気密高断熱住宅の建築工法としては1995年にLIXIL社が開発しました。

近年、世間で騒がれている高気密高断熱性能についても、SW工法は30年の歴史(実績)があります。

 SW工法は高気密高断熱の性能のみならず、耐震、制震性にも優れた住宅建築工法だと思います。

本物件では、今までの物件より拘った部分が多数あります。

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その一つ目が換気システムです。

建築は室内空気環境を清潔に維持する為に、建築基準法で一定の基準を設けております。

2時間に1回、室内の空気が入れ替わる様に、機械による換気を求められています。いかに大きな窓があったとしても機械(多くは換気扇)を用いずに換気を行うというものは、現在のところ認められておりません。

機械換気は第1~3種の方法があり、

第1種機械換気は、給気・排気を機械で行うというシステムです。給排気共に機械で行う為、理想の換気が行える一方、大型の機器を必要とする為コストが上がります。

第2種機械換気は、給気を機械で行い、排気は自然排気となります。空気をフィルターを通して取り込み、大気中の塵などが室内に入って来ることを抑える為、手術室やクリーンルームなどに採用されるシステムです。新鮮な空気を室内に押し込んで、汚れた空気を押し出す。イメージは『ところてん』ですね。

第3種機械換気は、自然に給気し、排気を機械で行うというものです。室内の汚れた空気を換気扇を用いて外気に排出すると、理論上、室内の空気が減ります(負圧状態)。その為、外壁面に設けた孔(レジスター)から空気が入って来るという仕組みです。一般的な木造住宅で採用されております。

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高気密高断断熱住宅を建築していくうちに、一つの疑問にたどり着きました。

気密性能を表す『C値=隙間相当面積』は〇.〇〇㎠/㎡となっています。

言い換えれば、1M角の面積に〇㎝角の隙間があるよという事です。

通常、住宅の換気口は部屋ごとに直径約10㎝のパイプを設置そのパイプから給気します。(円の面積=半径×半径×3.14=78.5㎠)言い換えれば、換気(給気)する為に壁にの隙間を作っているという事になります。

実は、気密性能を表すC値の算定には、換気に使用する孔は算入する必要がないとなっております。

計算上、除外することはできますが、実際に住む環境から除外することはできません。

そこで今回は、第1種機械換気システムとしてLIXIL社の『エコエア90』を採用することとしました。

エコエア90は高性能フィルターを内蔵し、花粉やPM2.5の侵入を防ぐのもちろん、本体内で熱交換を行い、換気による室温の上昇または低下を抑制することにより、冷暖房の負荷を下げることができます。

第3種換気は、壁に孔を空けてパイプを取り付け、最後に換気扇若しくは給気口を設置するだけですが、エコエア90の設置は天井内に本体を設置し、天井や壁に吸排気用の配管(ダクト)を設置し行き、最後に天井に吸排気口を取り付けます。

外と内を直接つなぐのではなく、機械を通すことでより、C値が実際の体感に近づきます。

こうして弊社のDomusは『高性能値=快適な暮らし』を実現したいと思っております。

本物件のC値は0.48㎠/㎡。

*延床面積101.02㎡(約30.5坪)の建物の中にある隙間を全て集めると、51㎠となり、約7.1㎝角程度の隙間があるという事になります。

**一般的にはC値1.0㎠/㎡以下が高気密住宅と呼べる基準となっています。

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『Domus』のコンセプトは『ずっと続く安心』です。

2つ目は、高気密高断熱性能はもちろん、『家はシェルターである』と考える弊社では、より安心、安全を目指して2024年よりSW工法に『免震性能』を付加しました。

これは

1995年 阪神・淡路大震災(京都)

2011年 東日本大震災(東京)

2024年 能登半島地震(京都)

を体験した私が拘りたい性能でした。

 私の実家は大手ハウスメーカーのMサワホームのO型住宅でした。古い家でしたがしっかりしていたと思います。

阪神大震災の時、寝ていると突然どーんっと突き上げられる様な感覚のあと、家が大きく揺れ食器棚や本棚の扉は開き、中に入っていたモノが反対の壁まで飛んでいきました。このとき本気で『死ぬ』と思いました。私は、当時、美大を目指す高校3年生で建築には余り興味はありませんでした。しかし今考えると、あの実家に免震性能があればあれほどの恐怖を味わうことはなかったと思います。

『あの地震でも倒れなかった』という事実を証明できますので、耐震性能・制震性能は建築業者の評価としては大切かもしれません。しかし、大地震の揺れ自体は実際に住んでいる方にとっては生命にかかわる問題です。

免震性能を持たせる為には、地面と接する基礎と、基礎と接する上部木構造が別の動きをする必要があります。地面と一緒に基礎が動き、その上にある建物本体は基礎の上を滑ることで、地震の力を本体に伝えにくくするという物です。フライパンの上の目玉焼きのように。

モノが動くには、少なからず隙間が必要となります。完全に密着していると摩擦抵抗で動けなくなります。

逆に隙間があるという事は気密性能が担保できないということになります。

 散々、建築に関わらず色々な材料や施工方法を検討しました。結果、新築時にはしっかりと気密性能が担保できるようになりましたが、いざ地震発生した後、『変わらずに気密性能が保てるか?』という問題に阻まれました。

メーカー担当者と協議を重ねましたが、LIXIL社としては『SW工法=高気密高断熱住宅』であり、地震には『耐震・制震』で耐えた実績がある。気密性能が担保できないのであれば『SW工法』とは呼べないとなりました。

しかし、ちいさな地場の工務店の私の思いを一旦は受け止めてくださり、最初からNGではなく社内でも検討してくださったLIXIL社の方々には感謝しております。

悩みに悩んだあげく、LIXIL社の担当者の方が『社長はご自身の信念を貫かれた方が良い』と助言を頂きました。

正式なSW工法でなくなった『Domus』が失ったものは完成後、LIXIL社から交付される『性能証明書』のみだとわかりました。これは保証等はつかず、ただ性能を証明するものです。

メーカーが発行する『性能証明書』に代わり、弊社では『Domus』シリーズの全棟を『BELS評価』を受け、『気密測定』も実施しております。

もちろんスーパーウォール自体に付加される『35年無結露保証』も取得できます。

今では自信を持って、弊社の『Domus』にお住いの方を守るため『免震』に取り組んでいます。

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3つ目はより環境負荷の小さな設備を採用することです。

地球環境や、省エネルギー化が声高に叫ばれる時代となりました。気候変動で近年では生命にかかわる酷暑が毎年夏にやってきます。エアコンなしで過ごすことはほぼ不可能な時代が来ました。更に、エネルギー自給率の低い日本では、不安定な世界情勢でエネルギー価格が高騰し家計を直撃しております。

住宅を購入するには、大きなお金が必要です。一般的には銀行から融資を受け、毎月一定のローンを返済していきます。ローンとは別に、水道光熱費が家計を圧迫することは、まぎれもない事実です。

弊社の『Domus』をご購入頂けるお客様のご負担が少しでも、軽減されることを願っております。

更に、省エネルギー住宅にお住まいになるという事は、住んでいるだけで地球環境保護に寄与しているといえると私は考えております。

 

弊社の『Domus』の断熱性能、省エネ性能は、ZEH基準をこえる、HEAT20 G2を標準としております。

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最後に、昨今の巨悪事件への対策として防犯カメラを設置しました。

こちらは、私が興味をもつ住宅のIoT(=Internet of Things)化の一環としても、本物件に採用致しました。

携帯電話の画面でいつでも状況を確認できます。外から家の様子を確認できるのは安心ですね。

その他、本物件でIoT化を行った箇所は

・LDKの電動シャッター=長期不在時に、シャッターを動かしていると防犯対策になると言われております。

・前述のハイブリッド給湯器給湯器=帰宅前にお風呂の準備ができます。

・玄関ドア=鍵の施錠を外部から確認でき、締め忘れて居た場合は施錠できます。

・LDKエアコン=帰宅前に、運転しておけば帰宅後快適に過ごせます。

・温度計=外出先でも室温の管理ができます。

以上が今回、こだわって採用させて頂いた設備です。

もう少しやりたいこともありました予算との兼ね合いで・・・。

『必要?』という声が聞こえて来そうですが、現在私が外部から携帯電話で操作していますが、意外と便利です。

私の大好きな映画『バックトゥザフューチャー2』に出てくる未来の住宅に一歩近づいた気がしてワクワクします。

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断熱性能について半信半疑な方が居られる思います。

かくいう私も、SW工法で建築するまでは半信半疑でしたが、何棟か建築していくうちに素晴らしいと確信し、自信を持ってお客様にお届けしております。

ご理解いただくために、本物件完成後の屋外、屋内の温度差を確認する為に、本物件建物内に温度計を4台設置しております。

1つ目はLDKの換気扇の上(22.4℃)

2つ目は北側の階段室(23.3℃)

3つ目は2階の南東の洋室(22.5℃)

4つ目はバルコニー(31.0℃)

 これは2025.5.14の14時頃に計測した数値です。

この日は、現場作業をしていると汗をかくほどの暑い日でした。

見て頂くとお判りになる通り室内は22.4~23.3℃に対し屋外は31.0℃ありました。

室内は無冷房で快適な環境でした。

この数値をご覧いただくと、暮らすための快適性は十分にお判りいただけることだと思います。

 

弊社では、お住まいになられる方に『ずっと続く安心』をお届けしたいと思っております。